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  • SEQUOIA+RME製品で体験するクラシック録音の奥義!「トーンマイスターワークショップ2019」が開催

SEQUOIA+RME製品で体験するクラシック録音の奥義!「トーンマイスターワークショップ2019」が開催

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SEQUOIA+RME製品で体験するクラシック録音の奥義!「トーンマイスターワークショップ2019」が開催
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「トーンマイスターワークショップ2019」

通常のスタジオ録音に比べ、ホールでのセッションレコーディングはそのノウハウを学ぶ機会はあまりない。とりわけ、クラシック音楽作品の録音やその制作手法はマイキングを含めて詳細が公開されることは少なく、全体像は謎に包まれていると言っていいだろう。そうした中、5月11日、12日、愛知県の碧南市芸術文化ホールで名古屋芸術大学と同ホール共催による「トーンマイスターワークショップ2019」という大変興味深い公開講座が開催された。クラシック音楽録音に関する特別な技能や知見を身に付けたトーンマイスターから、そのノウハウを直々に享受できるという実に貴重なこの機会では、クラシック音楽録音の世界で定番となっているMAGIXのSEQUOIA(DAW)とRME製品が用いられた。本稿では、公開講座として行われた、5月12日の様子をリポートしていこう。

文・写真◎山本 昇


クラシック音楽の本場ドイツからトーンマイスターを招いて行われている当ワークショップがスタートしたのは2007年。すでに5回にわたってクラシック音楽のレコーディングに関する特別講義が公開されている。6回目となる今回は、ドイツ・ベルリン芸術大学でディプロム・トーンマイスターを取得したフローリアン・B・シュミット氏、日独ハーフで同じくベルリン芸術大学でディプロム・トーンマイスターを取得しているアキ・マトゥッシュ氏のお二人を迎えて開催された。場所は碧南市芸術文化ホール内にあるエメラルドホール。500席規模ながら、音楽専用ホールとして緻密に設計された美しい残響が自慢のホールだ。

今回のワークショップを企画し、当日の進行役を務めたのは、名古屋芸術大学准教授の長江和哉氏。氏は、同大学音楽領域で、音楽制作、録音、音響の3つの分野を教育の柱としたサウンドメディア・コンポジションコースで、録音の授業を担当している。

碧南市芸術文化ホール エメラルドホール
碧南市芸術文化ホール エメラルドホール

クラシック音楽録音の実際

午前10時、長江氏の「今日は実際のクラシック音楽の録音がどのように行われているのかを学んでいただきたいと思います」という挨拶でスタートしたこのワークショップには、同大学の学生のほか、音響関係の仕事に携わる一般参加の人々も含め、総勢30人ほどが参加。コントロールルームに見立てて設置されたホールのホワイエには学生/一般を問わず、女性の姿も思いのほか多く見られた。講義の冒頭にシュミット氏は、「クラシック音楽の録音が、ポピュラーミュージックの録音とどう違うのかを見ていただきたいと思います」と挨拶。午前中の座学では氏が手がけてきた様々な録音事例が紹介されたが、特に強調していたのがマイキングについての考え方だ。
「クラシックの録音で重要なのがメインマイクの在り方です。メインマイクをできるだけいい位置に置いて、全体の響きをしっかりと録音するために、全指向性の指向性を持ったマイクを活用します」(シュミット氏)

ワークショップ会場 碧南市芸術文化ホール・ホワイエ
ワークショップ会場 碧南市芸術文化ホール・ホワイエ

その後、氏は、実際のオーケストラの録音データを再生しながら、オムニABとスポットマスクの関係、タイムアライメントの重要性などについてわかりやすく解説してくれた。そして、トーンマイスターの仕事については、漫然とテイクを重ねることを避けるべく、演奏そのものはもちろん、楽器のコンディションや演奏者の力量といったことも考慮しつつ、「限られた時間の中で可能な限り素晴らしいテイクを収録すること」だと語っていた。

マイキングのポイントについて解説するシュミット氏
マイキングのポイントについて解説するシュミット氏

SEQUOIAとRME製品

ワークショップの合間、フローリアン・B・シュミット氏とアキ・マトゥッシュ氏のお二人に、SEQUOIAやRME製品に対する印象などを聞けたので、ここにご紹介しよう。ふだんはPyramixを使っているというシュミット氏だが、最近ではSEQUOIAに触れる機会も増えているそうだ。
「SEQUOIAを使うようになったきっかけは、“エラスティック・オーディオ”という便利な編集ツールでした。例えば教会などでの合唱団の録音では、曲の終わりにかけてピッチが下がることがあります。そのままでは、次の曲が始まるときにピッチが合わなくておかしくなってしまうのですが、このツールなら上手く補正することができるのです」
そして、SEQUOIAの大きな特徴の一つがオブジェクトベースの強力な編集機能だ。
「オブジェクトベースのSEQUOIAは、EQなどを含めた編集作業が簡単で速く進むので重宝しています。また、“Comparisonics”のカラー表示は、どこに何があるかが視認できるのですごく便利ですね」

一方、SEQUOIAをメインDAWとして据えているマトゥッシュ氏はこのDAWの良さをこう語る。
「僕がSEQUOIAでいちばん気に入っているのは使いやすさです。初めて触る人でも、すぐに音が出せるようなデザインがいいですね。例えばPyramixと比べても、より速く録音の仕方を覚えることができるでしょう」

クラシック録音のスタンダードDAWとなっているSEQUOIA
クラシック録音のスタンダードDAWとなっているSEQUOIA

そのほか、マトゥッシュ氏はSEQUOIAのこんなメリットも紹介してくれた。
「トラックごとにファイルが書かれるSEQUOIAは、例えばコンサートのあとに指揮者から2ミックスのファイルだけを欲しいと言われたら、マルチトラックから書き出すのではなく、一緒に録っておいた2ミックスからwavファイルを直接コピーできます。それをCDに焼いたり、MP3に変換したりするのが簡単に行えるのもいいですね」

RME製品についての印象はどうだろう。
「Fireface 800やADI-648あたりから使い始めて、現在ではMADIface XT、Fireface UFX+などに拡張し、ヘッドアンプもMicstasyやOctaMic XTCを使っています。RMEが素晴らしいのは、どんなパソコンでもドライバーのインストールが簡単なことです。ホットプラグも問題なく行え、これまでにDAWが固まったりすることはあっても、RMEのインターフェースがおかしくなったことは一度もありません」(シュミット氏)

ホワイエに設置されたRME MADIface XT
ホワイエに設置されたRME MADIface XT

シュミット氏はさらに、RMEの安定性をこう評価する。
「RMEのUSBダイレクト録音機能である“DURec”は、マルチトラックでのバックアップが働くので、安心して録音することができます」
また、RMEはMADIをサポートすることでその真価を発揮するが、両氏のコメントからはこの伝送システムへの強い信頼が伝わってくる。
「MADIのいいところは、ステージのヘッドアンプから間違いなく自分のケーブルをコントロールルームまで引いてこられることです。以前、ベルリンのとあるホールの録音でDanteを使うことになったのですが、そこのエンジニアがどこかのサンプルレートを変えてしまったために全部がダメになってしまったことがありました。MADIは、何かおかしいところがあればすぐに分かるようになっています。その点はYesかNo、音が半分だけ来たりすることがないからトラブルにはなりにくい。そういう安定性は嬉しいですね」(シュミット氏)

モニタースピーカーはGENELEC S360
モニタースピーカーはGENELEC S360

そして、肝心の録音に関する機能性も高く評価しているという。
「扱えるチャンネル数が多いので、MADIface XTなら40チャンネルのオーケストラ・レコーディングを192kHzで行う場合も全く問題ありません」(シュミット氏)

座学の中でシュミット氏は、ライブ録音で使用する機材は「できるだけ少なく、しかし可能な限りいいものを選ぶのが大切」と語っていたが、RMEのコンパクトなシステムはまさにシンプルかつ高性能の見本のようなソリューションと言えるだろう。

RMEがサポートしているMADIはマルチチャンネルを光ケーブルのシンプルなワイアリングで伝送可能(通路右)
RMEがサポートしているMADIはマルチチャンネルを光ケーブルのシンプルなワイアリングで伝送可能(通路右)
ステージ上、楽器のすぐ近くに設置されていたRMEのヘッドアンプOctaMic XTCは名古屋芸術大学が所有する機材
ステージ上、楽器のすぐ近くに設置されていたRMEのヘッドアンプOctaMic XTCは名古屋芸術大学が所有する機材

いよいよレコーディングがスタート!

さて、昼食を挟んで午後からはいよいよ本題である「ギターのセッション録音」が始まった(1)。録音の前に、シュミット氏からは、「マイクの位置をしっかりと決めること」、「サウンドチェックは演奏者の負担にならいよう、手際よく行うこと」、「演奏者に録音された音を確認してもらうときは、それが最終ミックスとは異なることを理解してもらうこと」、また、「正確なモニタリングにはヘッドフォンが有用だが、演奏者には同じ種類のヘッドフォンを使用して聴いていただくことは大切」など、録音現場での心構えやTIPSが紹介された。

シュミット氏はリハーサルの演奏をヘッドフォンでモニターしながら、「スポットのステレオマイクが今一つですね。中低音がきつくて、高音は何か足りない音になっています」などと問題点を把握すると、すぐにホールへ駆け込んで、各マイクの位置を微調整しつつ、ステレオスポットDPA 4006のマイク先端のグリッドをオールランドに収音できるシルバーから高域の周波数が強調されたブラックに変更。さらに、「ルームマイクのポジションが若干遠かったので少し近付けましょう」と、目の前の情報から最善策を瞬時に判断し、素早く対応していく。そうした様子を、参加者も真剣な表情で追っていた。

実際の音に耳を傾けるシュミット氏
実際の音に耳を傾けるシュミット氏

(1)録音した楽曲は、日本を代表するギター奏者、アンサンブルノマド主宰の佐藤紀雄氏による演奏で、名古屋芸術大学教授 田中範康氏のギターソロ作品、ギターのための「ノクチュルヌ」と、佐藤氏と共に活動するギター奏者、山下俊輔氏との演奏でのギターデュオ作品、ブラームス 弦楽六重奏1番より主題と変奏(ジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムス編曲)。

「メインのオムニABとは別に、もう少し演奏者に近付いた場所で同じくオムニマイクをステレオでスポットとして使います。スポットはさらにもう2本、カーディオイドとワイドカーディオイドのマイクをモノでセットしてどちらがふさわしいか比較します。そして、ホールの響きを録るルームマイクはオムニのSCHOEPS MK2Sを2本使用します。また、ホール常設の吊りマイクNEUMANN MK183も比較のために接続したいと思います」(シュミット氏)

楽器の近くにセットされたスポットマイクは計4本。メインABと同じくDPA 4006のペアが1対、ブームスタンドの2本はワイドカーディオイドのDPA 4015(上)とカーディオイドのDPA 4011(下)

メインAB/DPA 4006(オムニ)
ルームマイク/SCHOEPS MK2S(オムニ)
ホール常設の吊りマイク/NEUMANN MK183(オムニ)
スポットブームスタンド/DPA 4015(ワイドカーディオイド)

マトゥッシュ氏からは、MADIに対応したRME製品の使い勝手について「ステージに設置してあるヘッドアンプOctaMic XTCは、“MIDI over MADI”という機能で、こちら(ホワイエ)からゲインなどを変えられるようになっています。例えばオーケストラの録音で、パーカッション用のマイクがオーバーを起こしそうなときも手元で素早く調節できるのは便利ですね」というコメントがあった。マトゥッシュ氏はまた、トークバックの音量が演奏者にとってうるさくないかを確認するなど、細かな気遣いも忘れない。

マイクのセッティングも決まり、サウンドチェックが済むといよいよ録音へ。まずは1stテイクを録り終えると、演奏者の佐藤氏もホワイエのモニター前に来て、録音された音を一緒に確認する。その場で佐藤氏は「休符が多い曲ですが、そのときのホールの響きがもう少し聞こえるといいのでは。中ではもっと聞こえています」といった感想をトーンマイスターに伝える。これを受けて、「では、ルームマイクのレベルを5dBほど上げてみましょう」とマトゥッシュ氏。また、「ホールの中と同じ音を録音する必要はありません。作品に合った音を見つけることが大切なのです」と語るシュミット氏は、リバーブを付加することを提案していた。

操作しているのはRME OctaMic XTC

ただし、演奏者はホールではリバーブを足した音がモニターできないため、休符の表現が変わってしまうといったやり取りがしばし続いた。この議論を理解するには、ホワイエに陣取っている参加者もホールの中の音を聴く必要があるが、佐藤氏は「みんなにもぜひ生の音も聴いてほしい」とこれを快諾。2テイク目は参加者もホールの中に移動して演奏を聴いた。

佐藤紀雄氏のソロ演奏による「Nocturne」で始まったレコーディング。
佐藤紀雄氏のソロ演奏による「Nocturne」で始まったレコーディング。
最初のテイクをホワイエのモニターで聴きながら、音の方向性について話し合う皆さん。左は「Nocturne」の作曲者で名古屋芸術大学教授の田中範康氏。
最初のテイクをホワイエのモニターで聴きながら、音の方向性について話し合う皆さん。左は「Nocturne」の作曲者で名古屋芸術大学教授の田中範康氏。

演奏者とのやり取りの中で、シュミット氏からは「Nocturneとは夜想曲、つまり夜の曲ですから、例えば26小節目あたりはもう少し落ち着いて弾いてもいいかもしれません」などといったサジェスションも伝えられた。さらに、「もう少しフォルテとピアノの差を大きくして、ダイナミックレンジの幅を広くした方がいいのでは」などといった助言ができるのも、トーンマイスターとしての経験と知見があるからだろう。

テイク2を録ってからは、演奏者の佐藤氏とシュミット氏がそれぞれ気になる部分を解決していくために、テイクを重ねた。シュミット氏はその間、演奏者を励ましながら、どこをどう演奏してもらいたいのかを的確に伝え、限られた時間の中で作業をどんどん進めていった。

こうして「Nocturne」の録音は1時間30分ほどで終了。続く山下俊輔氏とのデュオによるブラームスの「弦楽六重奏1番より 主題と変奏」では、モノラルのスポットマイクを二つともDPA 4015にするなどマイキングを少し変更するも、録音は手際よく進められ、午後3時30分にはこの日の収録が完了した。

山下俊輔氏(左)を加えたデュオでのブラームス
山下俊輔氏(左)を加えたデュオでのブラームス

SEQUOIAによる編集作業

録音のあとはソロ曲、田中範康氏の「Nocturne」を題材に、SEQUOIAを使った編集作業が行われた。
「“Nocturne”は先ほど、(短いものを含めて)35のテイクを録りました。これらのいちばんいいところを繋いで作品に仕上げたいと思います」

そう話すマトゥッシュ氏がまずアクセスしたのは、SEQUOIAのソース・デスティネーション編集機能。録音素材を“ソース”として保存し直し、上下二つに分かれたプロジェクト・ウィンドウの下部に集約。作品として使用する部分(OKテイク)を“デスティネーション”(画面上部のマスタートラック)に移していく作業は、INポイントとOUTポイントで区切られたマーカーによって簡単に行えることなどを説明する。

SEQUOIAの編集機能を解説するマトゥッシュ氏
SEQUOIAの編集機能を解説するマトゥッシュ氏

「デスティネーションには、ソースから使用する部分のみが、コピーペーストされていくので、録音したファイルはそのままの状態でエディットすることが可能です」と、マトゥッシュ氏はSEQUOIAの軽快な編集機能の仕組みを解説してくれた。

どのテイクを選ぶかの判断は、録音中にシュミット氏がスコアに書き込んだリマークスを元に行われた。そこには、テイクの良し悪しを「+」「-」といった記号で表してあったり、ギターの指板のノイズなどの箇所も記されている。シュミット氏の指示を受け、マトゥッシュ氏はSEQUOIAのクロスフェード機能も駆使しながら、実に手際よく最良のテイクを繋いでいった。その過程では、意図せず鳴ってしまっている開放弦の音など、不要なゴーストノートをきれいに消し去るテクニックも披露。その様子は会場のモニターにも大きく映し出されているので、どんな機能を呼び出して操作しているかは参加者にもよく分かる。

録音時に書き込んだスコアのリマークスを解説するシュミット氏
録音時に書き込んだスコアのリマークスを解説するシュミット氏

「準備のいい演奏者の場合、最初のテイクにはスペシャルなエネルギーが感じられるものです。テイクを重ねた録音素材を編集する際も、ときどき最初のテイクを聴いてみることも大切です」(シュミット氏)

こうした考えは、クラシックに限らず、ジャズやロック、ポップスのレコーディング現場でも聞かれることではある。ただ、今回ならギターの1音1音に対して厳格な判断が下されており、そのあたりはクラシックならではのこだわりと言えるのかもしれない。それにしても、要所ごとに様々なジャッジを行うには迷いも生じるとは思うが、シュミット氏は「いつでも自分の耳を信じて評価してください」と語りかけていたのが印象的だった。

全てのOKテイクを選択したあとは、ミキサー画面を立ち上げて、各マイクのミックスやリバーブの付加をどうするかといったレクチャーに。
「ルームマイクのレベルを上げるとこのホールらしい音になりますが、(初期反射に対して)リバーブタイムが少し足りないように感じるので、もう少しリバーブを足してみましょう」(シュミット氏)

レクチャーではこのほか、タイムアライメントの取り方、“スペクトラル・クリーニング”機能を使ったノイズ除去も実際に画面を操作しながら行われた。
「タイムアライメントは僕らもよく使いますが、場合によってはそれをしないほうが迫力があっていいというケースもありますから、よく聴き比べて判断するようにしてください」(シュミット氏)

不要なノイズを除去するスペクトラル・クリーニング
不要なノイズを除去するスペクトラル・クリーニング

肝心なのは音楽的にふさわしい作品を作ること

編集作業のデモを一通り終え、シュミット氏は「音楽をどこまで編集すべきか」という悩ましいテーマについてこのように話してくれた。
「編集や修正をやり過ぎる、いわばアコースティック・フランケンシュタインのような状態は自然な演奏や音とは言えなくなってしまうので気を付けたいところです。大切なのは、100%間違いのないものではなく、音楽的にいい作品を作ること。少しくらい余計な音が入っていたとしても、鳥肌が立つほど美しいテイクであれば、それを使うほうが絶対にいいと思います」

フローリアン・シュミット氏

最後は質疑応答の時間が設けられ、参加者からの質問に、シュミット氏とマトゥッシュ氏のお二人は丁寧に回答していた。このようにして、午後6時にはすべてのプログラムが終了。ワークショップの受講者たちに感想を聴いてみると、次のような答が返ってきた。

「私はまだ1年生で、こうしたレコーディングの仕方は今日初めて学ばせてもらいましたが、想像していたより大変な作業で、これまで聴いてきたCDもそのようにして録音されているのかと改めて考えさせられました。講師のお二人は本当に音に対するこだわりがすごくて、大変勉強になりました」(学生・女性)

「作品の制作というものがダイレクトに体験できる催しでした。具体的なテクニックだけでなく、作品として完成させるためのワークフローを理解できたのも非常に参考になりました。そして、フローリアンさんは今回、ホールの音は別にして、どういう音を作りたいのかを明確にして追いかけている印象で、それがとても斬新で面白かったです。かつては僕も憧れたトーンマイスターの方にお会いできて、どのように仕事に取り組んでいるかも知ることができ、いい経験になりました」(一般参加・男性)

また、長江和哉氏からもコメントが寄せられたので、ここにご紹介したい。
「名古屋芸術大学に音楽制作や録音・音響を勉強するサウンドメディアコースができたのは2001年です。一方、ドイツの音楽大学では、1949年にデトモルト音楽大学でトーンマイスター教育が始まっており、今回のようなトーンマイスターの方たちから学べることはたくさんあると思います。今回、このような素晴らしいホールと音楽で、そうしたノウハウを体感できたことは私を含め、皆さんにとって非常に素晴らしい経験になったのではないでしょうか。これからも、このような機会を作りみなさんとともに私自身も勉強していきたいと思います。」

長江和哉氏

今回のワークショップを振り返り、シュミット氏はこう話してくれた。
「学生が活発に質問を寄せてくれたことは印象的でした。例えば、“もし演奏者が緊張しすぎて弾けなくなってしまったら、どう解決すべきか”など、録音のテクニックに留まらない探究心が感じられて嬉しかったです。と言うのも、我々トーンマイスターの仕事の80%は、演奏者がいかに安心していい演奏ができる環境を整えられるかというところにあるんですよ。それがいちばん大事なので、使用するDAWや機材はいつも当たり前のように動いてくれる必要がある。機材の調整に時間を取られてしまったら、演奏者とのコミュニケーションが疎かになってしまいますからね」

ところで、トーンマイスターとして心身をより良い状態に保つため、心掛けていることはなんだろう。
「音のうるさいクラブなどには足を向けないようにしています(笑)。常にストレスが溜まらないように気を付けることと、準備をしっかりすることが大事です。いい準備ができれば、その録音セッションもストレスなく行うことができますよね」

シュミット氏のこの言葉を受けて、マトゥッシュ氏はこう付け加える。
「ストレスと言えば、日本ではスーパーもレストランも床屋さんも、どこでも音楽が鳴っていて、ひどいときには5つくらいの音楽が一遍に聞こえます(笑)。音楽は素晴らしいもの。そんなふうにばらまくのではなく、もっと大事にして楽しんでほしいと思いますね」

トーンマイスターワークショップ2019
シュミット氏とマトゥッシュ氏
シュミット氏とマトゥッシュ氏

この度の「トーンマイスターワークショップ2019」は、現代のクラシック録音に関する現実的なノウハウを短時間ながら濃密に体験できる催しだった。長江氏を中心に、継続して開かれるであろう今後のワークショップにもぜひ注目してほしい。なお、シュミット氏とマトゥッシュ氏が本国のベルリンで運営している録音制作会社「ペガサスムジークプロダクション」のホームページ(https://pegasusaudio.de/)では、お二人が手がけたクラシック作品が多数紹介されているので、こちらもチェックしていただきたい。

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    トーンマイスターワークショップ2019(facebook)

ワークショップのレポート

前日の5月11日に行われた、ピアノのセッション録音についてのワークショップ

2日間に渡って行われた本ワークショップの詳細レポートは、長江和哉氏によって2019年10月号、12月号のプロサウンドに寄稿予定です。

PROSOUND 2019年10月号 Vol.213
PROSOUND 2019年12月号 Vol.214

ワークショップ講師

フローリアン・ B・シュミット(名古屋芸術大学 特別客員教授 トーンマイスター)
Dipl.-Tonmeister, Guest Prof. Florian B. Schmidt

1968年ドイツ・カールスルーエ生まれ。1996年ベルリン芸術大学にてディプロム・トーンマイスターを取得。フリーランスのトーンマイスターとして20年以上の経験を持ち、特にドイツ公共ラジオ ドイチュラントフンク・クルトゥーアのコンサート中継や、放送局と外部レーベルとのコ・プロダクションによる原盤制作のプロデューサーとして活躍している。2014年には、アキ・マトゥッシュ氏と録音制作会社Pegasus Musikproduktionを共同設立し、Sony、Accentus、Harmonia Mundi Franceなどのレーベルの録音を担当している。これまでに、ベルリン放送交響楽団、ベルリンドイツ交響楽団、ベルリンRIAS室内合唱団、ベルリン放送コーラス、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、トーンキュンストラー管弦楽団、ドレスデン室内合唱団などと、さまざまなジャンルや時代を網羅する録音作品を制作し、国内外で数々の賞を受賞している。

アキ・マトゥッシュ(トーンマイスター)
Dipl.-Tonmeister Aki Matusch

1983年ドイツ・フライブルク生まれ。ドイツ人の声楽家の父と日本人のピアニストの母を持つ日独ハーフのトーンマイスター。2011年ベルリン芸術大学にてディプロム・トーンマイスターを取得。フローリアン・B・シュミット氏と立ち上げた録音制作会社Pegasus Musikproduktionでは各種レーベルの原盤制作においてバランスエンジニアを担当している。また、2019年からは、ドイツ公共ラジオドイチュラントフンク・クルトゥーアで、中継のテクニカルエンジニアも担当するなど、放送中継の分野でも活動中。これまでに、ベルリン放送交響楽団、ベルリンドイツ交響楽団、リアス室内合唱団、ドレスデン室内合唱団、トーンキュンストラー管弦楽団、ベルリン古楽アカデミー、カペッラ・アムステルダムなど様々な録音作品を制作している。

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