TotalMix FX 追加機能「Room EQ」「Crossfeed」
最新のファームウェア・アップデートにより、TotalMix FXバージョン1.90以降用の新機能として、9バンドのパラメトリックEQ(以降、PEQと表記)を出力チャンネルに設定できる「Room EQ」、ヘッドフォンの音場を自然に抑えチャンネル分離を軽減する「Crossfeed」が追加されました。
目次
「Room EQ」機能
TotalMix FXに搭載された既存の3バンドPEQの技術と設計を基に、内部的に3つの3バンドPEQから9バンドPEQを構築し、任意の出力チャンネルで使用できます。
※DSPのパワーには限りがあるため、Room EQを有効にすると、使用できる3バンドPEQの総数はその分減少します。しかしながら、十分な数が用意されているため、実際の使用に支障はなりません。
Room EQ対応機種
- Fireface 802 FS
- Fireface UFX II
- Fireface UFX III
- Fireface UFX+
- Fireface UCX II
- MADIface XT II
- HDSPe MADI FX(Rev.2:ファームウェア FPGA 200以上)
Room EQウィンドウ
TotalMix FXの「Hardware Outputs」の該当チャンネルのツールボタン(スパナのアイコン)をクリックして、「Room EQ」ボタンを押すとRoom EQウィンドウが開きます。

Room EQの設定

Room EQは、最大20個のモノラル出力チャンネル、または10個のステレオ出力チャンネル、もしくはモノラル/ステレオ出力チャンネルを任意に組み合わせて使用できます。16チャンネルを使用するサラウンド・セットアップに対しても十分なチャンネル数です。
*この機能を使用するには、ウィンドウ左上にあるONボタンをオレンジに切り替える必要があります。
初期設定ではL/Rのチャンネルがリンクされた状態であり、この状態での操作は、L/Rの両方に適用されます。また、LEFTタブ、RIGHTタブそれぞれで個別に操作を行うことも可能です。
Delay補正
Room EQウィンドウで、0ミリ秒から42.5ミリ秒まで0.01ミリ秒単位で調整可能なディレイ補正を設定できます。このディレイは、9バンドPEQの数に合わせて最大20個まで有効化できます。
*この機能は、「0.00 ms」にすることでOFFになります。
Volume Calibration
Room EQウィンドウで、+3 dBから-24 dBまでのレベル調整を行うことが可能です。これにより、それぞれの出力チャンネルのフェーダーを調整することなく、すべてのスピーカーを適切にセットアップできます。
*この機能は、「0.0 dB」にすることでOFFになります。
Import機能

TotalMix FXバージョン1.96で追加されたImport機能を活用すれば、Sonarworks社「SoundID Reference」や「Room EQ Wizard(REW)」などの音響測定ソフトウェアで測定したEQデータを簡単に読み込むことができます。この機能により、測定結果をもとに細かな数値調整を行う手間を省き、スムーズにEQ設定を行うことが可能です。
Room EQウィンドウ右上にある「Preset」メニューを開き、「Import」または「Import REW」を選択し、音響測定ソフトウェアからエクスポートしたEQデータファイルをインポートすることで、Room EQにEQ設定を直接適用できます。
Sonarworks Sound ID ReferenceおよびREW (Room EQ Wizard) 関連リンク
Sonarworks社の「SoundID Reference」および「REW(Room EQ Wizard)」の詳細やEQデータファイルのエクスポート方法については、各メーカーの公式情報をご確認ください。弊社ではこれらのソフトウェアに関するサポートは行っておりません。あらかじめご了承ください。
▶︎Sonarworks社の公式ウェブサイト(英語)
Sound ID Reference「High-end hardware solution for stereo and immersive set-ups」(英語)
▶︎REW (Room EQ Wizard) 公式サポート・フォーラム
https://www.avnirvana.com/forums/official-rew-room-eq-wizard-support-forum.10/(英語)
▶︎TotalMix FXのRoom EQにREWのEQファイルをインポートするにはどうしたらいいですか?(FAQ)
TotalMix FXのRoom EQにREWのEQファイルをインポートするにはどうしたらいいですか?
「Crossfeed」機能

さらに、ヘッドフォン・ミキシング用に、ADI-2シリーズで提供されているクロスフィード機能も追加しました。クロスフィード機能は最大3つのステレオ出力に設定可能で、5段階のレベルから選択できます。クロスフィードはスピーカーの音響特性をエミュレートし、チャンネルの分離感を軽減することで、ヘッドフォン特有の広がりすぎる音場を自然に抑える効果があります。

Fireface UFX III
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